メロン作りが楽しい!
若手メロン農家・櫻井さんの心意気

取材:2018年5月  放送:2018年5月

 
 メロンのことを語ると、顔つきが変わる。旬を迎えたメロン果汁が滴るように、メロンに対する情熱があふれ出し、話を聞いているだけで何かアツいものが注入されたような気分になる。国内有数のメロン産地である茨城県鉾田市旭地区(旧旭村) に、そんな若手農家 がいます。
 
 櫻井雄一さん(40)。メロンならではの栽培の難しさや、手間のかかる大変さを含めて、メロンを育てるのが「面白い」という、心意気が頼もしいメロン農家3代目。茨城県独自の品種「イバラキング」の栽培にも挑む、気鋭の生産者です。
 
 

メロン栽培は「違い」が面白い

 メロンと一口に言っても、いろんな種類があります。櫻井さんの所でもイバラキング、アンデス、クインシー、イエローキングなど様々な品種を作っています。「見た目も一つひとつ違うし、品種によって味が全く変わります」。さらには同じ品種でも、育て方によって差が出るのがメロン。それが栽培の面白さだと言います。
 
 茨城県はメロンの一大産地でありながら、独自の品種がありませんでした。そこで生まれたのがイバラキング。20年もの歳月をかけて研究・改良を重ね、400通り以上の掛け合わせの中から、たった一つ選ばれた秘蔵っ子が、茨城の顔になるために大切に育まれています。
 
 櫻井さんがイバラキングを作るのは、「味がおいしいから」。上品な香りと甘さ、なめらかな口当たり、緻密な果肉が特徴。しかも通常のメロンより一割ほど大きく、ずっしりと重い。栽培して5年。「上品なメロン」と評判ですが、「農家にとっては簡単に作れるものではない」と櫻井さんは言います。交配後、温度・湿度に敏感になり「わがまま」になるのだそう。「種をまく時は不安でしょうがないです。種をまいて、本当に6カ月後、実になってくれるのかと。だから収穫して、箱詰めした瞬間にほっとします」。そんな緊張感を引き受けつつ、メロン作りについて聞くと「楽しいです」とパアッと笑顔になりました。
 
 

実のなるものは「楽しさ・楽しみ」両方が味わえる

 東京の大学で醸造学を学んでいた櫻井さんは、学生時代にバーテンダーを経験したことから「ワインが面白い」と感じ、アメリカのカリフォルニアに留学。農業研修で原料のぶどうから作ることの楽しさを味わいます。帰国後は果樹園をやろうと、まずは実家のメロン栽培を手伝ううちに「面白くなって」後を継ぐことに。しかし「代が変わって全部任された時に、大失敗をしたんです。それが悔しくて続けました」と。そう話す表情が明るかったのが印象的でした。
 
 「実のなるものは、楽しさと楽しみの両方を味わえます それは、育てる楽しさと実楽しみ。手をかけた分 、おいしさに つながり 一玉一玉違う顔になる。 特にメロンは栽培期間が長く、本当に好きじゃないと作っちゃいけないんじゃないかと思うくらい経営面でも難しい。ですが、すごく楽しい作物です。これからもがんばります!」
  
 
 
 〈記事〉桝郷春美(フリーランス・ライター)